学校歯科検診で歯並びにチェックがついたら|判定の意味と受診の目安について2026/10/06(火)
- 学校歯科検診の「歯列・咬合」欄は、0=異常なし、1=定期的観察が必要、2=専門医(歯科医師)による診断が必要、の3区分です。検診はふるい分け(スクリーニング)であり、確定診断ではありません。
- 「1」は今すぐ治療が必要という意味ではなく、経過を見る段階です。「2」は歯科医院で詳しく診てもらう必要がある状態で、程度によっては噛む・話す機能や、むし歯・歯肉炎のなりやすさに影響する可能性があります。
- 矯正治療は原則として健康保険が使えず、費用と期間はお子さんの状態と方法で大きく変わります。まず受診して「今、何が必要か」を確認し、治療するかどうか・いつ始めるかは落ち着いて決めて構いません。
大分市木上のたけお歯科クリニック、院長の武生智です。このブログでは、学校歯科検診の結果用紙で「歯列・咬合」にチェックがついたときに、保護者の方が知っておきたいことを整理します。
目次
- 学校歯科検診で歯並びにチェックがついたら、まず何をすればよいか
- 「歯列・咬合」の判定「0」「1」「2」が意味すること
- チェックの対象になりやすい歯並び・かみ合わせの種類
- 放置するとどうなる?考えられる影響
- 受診の目安と緊急性
- 受診したら何をするのか(検査と、その後の選択肢)
- 矯正治療のリスク・費用・保険の考え方
- 当院の考え方・対応(たけお歯科クリニック)
- よくある質問
- まとめ/ご相談について/この記事を書いた人/参考資料
学校歯科検診で歯並びにチェックがついたら、まず何をすればよいか
結果用紙の「歯列・咬合」が「2」なら、歯科医院を受診して詳しく診てもらってください。「1」なら急いで治療を始める必要はありませんが、定期検診のついでに一度相談しておくと、その後の見通しが立ちやすくなります。
学校の歯科検診は、「健康」「要観察」「要医療」にふるい分けることを目的としたもので、医学的な確定診断を行うものではありません[1]。学校歯科医は限られた時間と器具で、主に視診で判定します[1]。そのため、チェックがついたからといって、すぐに「病気」「矯正が必要」と決まるわけではなく、逆に、チェックがなくても気になることがあれば相談してよい、というのが歯科医師の立場からの説明です。
文部科学省は2022年(令和4年)3月の事務連絡で、歯列・咬合の結果を通知するときは判定の数字だけでなく「結果の意味や関連する情報」を添えること、受診の前に学校歯科医が保護者に健康相談を行うよう配慮することを各学校に求めています[2]。お知らせの内容が分かりにくいときは、学校(養護教諭)を通じて学校歯科医に相談することもできます。
受診するときは、次のものを持っていくと診察がスムーズです。
- 検診結果のお知らせ(学校から渡された用紙)
- 保健調査票の控えや、過去の検診結果(あれば)
- 気になっていること:指しゃぶり、口がいつも開いている、食べ物を噛みにくそう、発音が気になる、歯が生えてこない、など
「歯列・咬合」の判定「0」「1」「2」が意味すること
「歯列・咬合」は歯並びとかみ合わせのことで、学校の健康診断票では次の3区分で記録されます[3]。
| 判定 | 健康診断票上の意味 | 通知の区分 | 保護者の受け止め方の目安 |
| 0 | 異常なし | — | 現在の状態を保つ |
| 1 | 定期的観察が必要 | 要観察 | 今すぐの治療対象ではないが、将来その可能性がある、または軽度の不正がある状態[1] |
| 2 | 専門医(歯科医師)による診断が必要 | 要精検(受診をすすめる) | 歯科医院で精密な検査・診断を受ける[1][2] |
「1(要観察)」について、文部科学省の学校歯科保健参考資料は「現状では医療機関での精密検査や相談、治療が必要とは判定できないが、将来そうなる可能性があるか、あるいは軽度の不正がある者」と説明しています[1]。学校での保健指導や、翌年以降の検診での経過観察が基本になります。
「2」は、専門医(歯科医師)による診断が必要と判定された状態です[3]。日本学校歯科医会が作成した通知例でも、反対咬合・上顎前突・歯数異常・開咬などが、専門医による診断が必要になる代表的な例として挙げられています[2]。
チェックの対象になりやすい歯並び・かみ合わせの種類
学校歯科検診で要観察・要精検の対象になりやすい歯並び・かみ合わせには、次のようなものがあります[1][2]。どれに当てはまるかは、受診時に歯科医師が確認します。
| 種類 | どんな状態か | 知っておきたいこと |
| 反対咬合(受け口) | 下の前歯が上の前歯より前に出ている | 歯の傾きが原因の場合と、あごの大きさが原因の場合がある。あごの成長が関係する場合は、成長が落ち着くまで経過を追う必要がある[4] |
| 上顎前突(出っ歯) | 上の前歯が前方に出ている、または上の歯列全体が前に出ている | 口を楽に閉じにくく、転倒などで前歯を折ったり唇を切ったりしやすい[4] |
| 開咬 | かみ合わせたときに前歯に上下のすき間ができる | サ行・タ行の発音に影響することがある。指しゃぶりなどの癖が原因なら、癖の中止や唇の訓練で改善がみられる場合がある[2][4] |
| 叢生(でこぼこ・八重歯) | 歯が重なり合って並んでいる | あごの大きさと歯の大きさのバランスが原因。歯ブラシが届きにくく、汚れが残りやすい[4] |
| 正中離開 | 上の前歯の真ん中にすき間がある | 生え変わりの途中で一時的に目立つこともあり、歯科医院で経過を見る判断になることがある |
| 歯数異常 | 本来の本数より多い・少ない(先天性欠損、埋伏歯、過剰歯など) | 手術が必要な場合や、その後に矯正が必要になる場合がある[2] |
放置するとどうなる?考えられる影響
歯並び・かみ合わせの不正は、すべてのお子さんに問題を起こすわけではありませんが、程度や成長段階によっては、噛む力の低下や発音の問題につながったり、歯列の乱れからむし歯・歯肉炎のリスク要因になったりする可能性があります[1]。
日本学校歯科医会の通知例では、歯列・咬合の不正が「噛む・話す・呼吸する・体のバランスをとる」などの発達に影響する場合があり、学校での学習に影響が出る場合もあると説明されています[2]。日本矯正歯科学会も、不正咬合をそのままにすると、食べ物がよく噛めない、歯周病になりやすい、口臭の原因になる、あごの関節に負担をかける、といった問題が起こる可能性があるとしています[4]。
一方で、これらは「起こり得る」影響であり、「必ず起こる」ものではありません。軽度の不正で、噛む・話すに支障がなく、本人も気にしていない場合は、経過観察が妥当な判断になることも多くあります。大切なのは、放置するか治療するかを自己判断で決めず、現在の状態と見通しを歯科医師に確認しておくことです。
受診の目安と緊急性
歯列・咬合のチェックは、急を要する病気ではありません。ただし、成長期の歯並びは時期によって選べる対応が変わるため、「2」のお知らせを受け取ったら先延ばしにせず、早めに受診の予約を取ることをおすすめします。「1」の場合は、むし歯のチェックや定期検診のときに一緒に相談すれば十分です。
判定に関わらず、次のような様子があれば、早めに相談してください[2][4]。
- 口がいつも開いている、口で呼吸している
- 食べ物を前歯で噛み切れない、よく噛まずに飲み込む
- サ行・タ行などの発音が気になる
- 小学生になっても指しゃぶりが続いている
- 永久歯がなかなか生えてこない、歯の本数が左右で合わない
- 転倒などで前歯をぶつけた
相談先は、かかりつけの歯科医院、小児歯科、矯正歯科のいずれでも構いません。歯科医師の立場から申し上げると、まずは通い慣れた歯科医院で現在の状態を確認し、必要に応じて矯正の専門的な診断につなぐ、という順序が無理のない進め方です。日本矯正歯科学会のウェブサイトでは、学会の認定医・専門医を地域から検索できます[4]。
受診したら何をするのか(検査と、その後の選択肢)
受診の最初のステップは、歯科医師による問診と視診です。成長段階・癖・生え変わりの状況を確認し、精密な検査が必要かどうかを判断します。矯正治療を検討する場合は、レントゲン写真、顔と口の写真、歯型などの検査を行ったうえで診断します[4]。
診断の結果、選択肢はおおむね次のように整理できます。
- 経過観察:定期的に受診し、生え変わりとあごの成長を確認する。
- 癖や習慣への対応:指しゃぶり・口呼吸・舌の癖などがある場合、癖の中止や口まわりの訓練を行う[2]。
- 成長期の矯正治療:乳歯と永久歯が混在する時期に、あごの成長や永久歯の生えるスペースに働きかける。日本矯正歯科学会は、矯正歯科治療は成長・発育期に行うのがよいとされており、小学生から中学生で治療を開始することが多いと説明しています[4]。
- 永久歯が生えそろってからの矯正治療:歯並び全体を整える本格的な治療。
乳歯が多い時期に治療を始めた場合、あごの成長や永久歯の大きさが予想と異なり、途中で治療方針が変わる(抜歯を提案される)ことがあります[4]。「早く始めれば必ず有利」とは限らないため、開始時期は診断を受けたうえで相談して決めてください。
矯正治療のリスクの考え方
矯正治療には利点だけでなく、次のようなデメリットやリスクがあります。日本矯正歯科学会は、治療が長期間になること、原則として保険が適用されず高額になることがあること、装置による痛みや圧迫感、歯並びを整えるために健康な歯を抜くことがあることを挙げています[4]。装置がついている間は歯が磨きにくくなり、むし歯や歯肉炎のリスクが高まるため、丁寧な歯みがきと定期的な管理が必要です[4]。歯を動かす治療が終わったあとも、保定装置を使わないと後戻りが起こりやすくなります[4]。
当院の考え方・対応(たけお歯科クリニック)
当院は小児歯科と矯正歯科に対応しており、学校歯科検診のお知らせを持って来院されたお子さんについても、まず現在の歯並び・かみ合わせ・生え変わりの状況を確認し、経過観察でよいのか、何らかの対応が必要なのかをご説明しています。矯正のご相談については、当院公式サイトに「矯正相談」の予約枠があり、治療後の歯並びのシミュレーションは無料です。当院で行っているお子さん向けの矯正治療は次のとおりです(※費用は公式サイト「お子様の矯正」ページの掲載額です。公開前に最新の料金表と照合してください)。
| 治療内容 | 対象の目安 | 標準的な費用(税込) |
| マウスピース型矯正装置(インビザライン・ファースト):乳歯と永久歯が混在する時期に、あごの幅を広げながら歯並びを整える取り外し式の装置 | 6〜10歳ごろ(適応かどうかは診察で確認) | 462,000円(診断料・検査料・装置代を含む) |
| 10歳以上推奨の矯正プラン | 10歳以上 | 770,000円 |
| プレオルソ:既製のやわらかいマウスピースを就寝時と日中の一定時間に装着し、あごの成長や口まわりの癖に働きかける治療 | 永久歯が生えそろう前のお子さん | 66,000円(診断料・検査料・装置代を含む)、交換代として年1回22,000円 |
これらは健康保険が適用されない自由診療です。主なリスク・副作用として、装置による違和感や痛み、取り外し式の装置では装着時間が足りないと効果が得られにくいこと、治療中はむし歯や歯肉炎のリスクが高まること、歯の動き方には個人差があり予定より期間が延びることがあること、治療後に保定を行わないと後戻りが起こり得ることがあります[4]。マウスピース型矯正装置(インビザライン・ファースト)は完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
よくある質問
「1」がついたけれど、本人も親も気になっていません。放っておいてよいですか?
「1(要観察)」は、今すぐ治療が必要とは判定できないが経過を見る必要がある状態なので、すぐに治療を始める必要はありません[1]。ただし「放置してよい」ではなく「経過を見る」が正確な意味です。翌年以降の検診で評価が変わることもあるため、むし歯の定期検診の際に歯並びも一緒に見てもらい、生え変わりの進み方を確認しておくことをおすすめします。
「2」がついたら、必ず矯正治療をすることになりますか?
いいえ。「2」は「専門医(歯科医師)による診断が必要」という意味で、治療の要否や方法は、受診して診断を受けてから決まります[2][3]。診断の結果、経過観察や癖への対応で様子を見る判断になることもあります。また、矯正治療は原則として保険が使えない自由診療なので、診断を受けたうえで、ご家庭の事情も含めて治療するかどうかを決めて構いません。
子どもの矯正は何歳から始めるのがよいですか?
一律の正解はありません。日本矯正歯科学会は、矯正歯科治療は成長・発育期に行うのがよいとされ、小学生から中学生で開始することが多いと説明しています[4]。一方で、乳歯が多い時期に始めると、成長の予測が外れて途中で方針が変わることもあります[4]。お子さんの歯並びの種類、生え変わりの状況、癖の有無によって適した時期は異なるため、開始時期そのものを歯科医院で相談してください。
学校歯科医と、かかりつけの歯科医院、どちらに相談すればよいですか?
どちらでも構いません。学校歯科医は、検診結果をもとに保護者への健康相談を行う役割を担っており、学校(養護教諭)を通じて相談を依頼できます[1][2]。一方、実際の精密検査や治療は、歯科医院で受けることになります。大分市内で通いやすい歯科医院があれば、検診のお知らせを持参して相談していただければ、学校歯科医の判定の意味も含めてご説明できます。
検診で何も言われなかったのに、歯並びが気になります。相談してもよいですか?
もちろん相談してください。学校歯科検診はふるい分けが目的で、短時間の視診で行われるため、すべての状態を拾い上げるものではありません[1]。保護者の方が気づいた「口が開いている」「噛みにくそう」「発音が気になる」といった日常の様子は、診察の大切な手がかりになります。
まとめ
- 学校歯科検診の「歯列・咬合」は、0=異常なし、1=定期的観察が必要、2=専門医(歯科医師)による診断が必要、の3区分で、検診はスクリーニングであり確定診断ではありません。
- 「1」は経過観察、「2」は歯科医院での精密な診断が必要な状態です。「2」でも、診断の結果、経過観察になることはあります。
- 不正咬合は、程度によって噛む・話す機能や、むし歯・歯肉炎のなりやすさに影響する可能性がありますが、必ず問題が起こるわけではありません。
- 矯正治療には長期間・自由診療・痛み・抜歯の可能性などのデメリットがあり、保険が使えるのは限られた疾患・状態だけです。
- 判定の意味と今後の見通しを歯科医師に確認したうえで、治療するかどうか・いつ始めるかを決めてください。
ご相談について
学校歯科検診のお知らせを受け取って、どうすればよいか迷っている大分市の保護者の方は、お知らせの用紙を持ってご相談ください。まず現在の状態と見通しをご説明し、経過観察でよいのか、何らかの対応が必要なのかを一緒に考えます。矯正治療を前提にしたご相談である必要はありません。
- たけお歯科クリニック 〒870-1161 大分県大分市木上2059 電話 097-542-1184
参考資料
- 文部科学省「『生きる力』をはぐくむ学校での歯・口の健康づくり」(2011年)第4章「歯・口の保健管理の実際」 https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/06/23/1306939_05.pdf
- 文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課「学校歯科健康診断における歯列・咬合の検査について」(事務連絡、2022年3月30日。日本学校歯科医会作成の通知例を含む) https://www.mext.go.jp/content/20230911-mxt_kenshoku-000031771_1.pdf
- 文部科学省「学校保健安全法施行規則の一部改正等について」関連資料・児童生徒健康診断票(歯・口腔)の記入要領(事務連絡、2015年9月11日) https://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/hoken/__icsFiles/afieldfile/2017/05/01/1383847_02.pdf
- 公益社団法人日本矯正歯科学会「矯正歯科治療について/矯正歯科治療のQ&A」 https://www.jos.gr.jp/about
- 公益社団法人日本矯正歯科学会「矯正歯科治療が保険診療の適用になる場合とは」 https://www.jos.gr.jp/facility
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療に代わるものではありません。お子さんの歯並び・かみ合わせについて気になることがある場合は、歯科医院を受診してください。
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