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ジルコニアと保険のCADCAMの違い2025/10/14(火)

大分市わさだの歯医者、たけお歯科クリニックの院長 武生智です。

今回は、「ジルコニアと保険のCADCAMの違い」お話をしていきます。

 

【目次】

1.ジルコニアとは何か

2.保険適用のCAD/CAM冠とは

3.材料の特性の違い

4.製作方法と精度の違い

5.審美性と耐久性の比較

6.治療費と期間の違い

7.どちらを選ぶべきかの目安

8.まとめ

 

1.ジルコニアとは何か

ジルコニアは酸化ジルコニウムを主成分とする高強度セラミック材料で、歯科ではクラウンやブリッジなどの補綴物に用いられます。

特徴として以下が挙げられます。

 

・高強度:咬合力の強い奥歯にも使用可能

 

・耐摩耗性:長期使用でもすり減りにくい

 

・生体親和性:歯肉への刺激が少なく、アレルギーリスクが低い

 

・審美性:白色で透明感のある仕上がりが可能

 

ジルコニアは保険適用外の自費治療となることが多いですが、その耐久性と審美性の高さから多くの患者さんに選ばれています。

 

2.保険適用のCAD/CAM冠とは

保険適用のCAD/CAM冠は、主にハイブリッドレジンやプラスチックを含むセラミック材料を用いて作られるクラウンです。

特徴として以下があります。

 

・保険適用可能:条件を満たせば自己負担を抑えて治療可能

 

・CAD/CAM技術で製作:デジタルスキャンとミリングマシンで作製されるため、短期間でクラウンを作ることが可能

 

・主に小臼歯に使用:奥歯の咬合力に対して十分な耐久性がある部位に限られる

 

保険適用のため費用は抑えられますが、材料強度や審美性では自費のジルコニアに劣ります。

 

3.材料の特性の違い

ジルコニアと保険のCAD/CAM冠では、材料特性が大きく異なります。

 

・ジルコニア

曲げ強度:900〜1200MPa

耐摩耗性:非常に高い

透光性:やや低めだがステイン加工で調整可能

 

・保険CAD/CAM冠

曲げ強度:約200〜400MPa

耐摩耗性:中程度

透光性:天然歯に近いが、色調の微調整は限られる

 

この違いにより、奥歯の咬合力の強い部位ではジルコニアをお勧めしています。

一方で奥歯以外の場所での治療にて、審美性や短期間での作製を優先する場合は保険CAD/CAMも選択肢となります。

 

4.製作方法と精度の違い

・ジルコニア

デジタルスキャンで歯列を取り込む

CADで設計

ジルコニアブロックをミリングマシンで削り出す

焼結(高温処理)で硬化

焼結により強度がさらに増す

精度が高く、適合性も良好になりやすいです

 

・保険CAD/CAM冠

デジタルスキャン

CADで設計

ミリングマシンで削り出す(焼結工程なし)

作製スピードが早い

焼結しないためジルコニアに比べて強度は劣ります

 

製作工程の違いは、耐久性や精度に影響します。

ジルコニアは長期使用に強く、保険CAD/CAMは短期間で装着可能という利点があります。

 

5.審美性と耐久性の比較

特徴           ジルコニア                     保険CAD/CAM冠

審美性     高い(ステイン加工可能)          中程度(色調の選択制限あり)

強度           非常に高い                       中程度

耐摩耗性                高い                            普通

使用可能部位       前歯・奥歯                  主に小臼歯

長期安定性            優れる                     使用環境による

 

上記からも分かる通り、咬合力の強い奥歯や長期使用を考える場合はジルコニア、費用を抑えつつ短期間で治療したい場合は保険CAD/CAMが適しています。

 

6.治療費と期間の違い

・ジルコニア

自費治療:5~10万円程度(保険外)

製作期間:1~2週間

長期耐久性と審美性が優れる

 

・保険CAD/CAM冠

保険適用:自己負担1~2万円程度(3割負担の場合)

製作期間:即日~数日

審美性や耐久性はジルコニアに比べると劣る

 

費用と治療期間の面では保険CAD/CAMが優れますが、耐久性や将来的な再治療リスクを考慮するとジルコニアのメリットも大きいです。

 

7.どちらを選ぶべきかの目安

選択の目安は以下の通りです。

 

・咬合力が強く、奥歯のクラウンを長期使用したい場合

→ ジルコニアが適しています

 

・前歯や小臼歯で、費用を抑えつつ治療を希望する場合

→ 保険CAD/CAMが適しています

 

・審美性を最優先する場合

→ ジルコニアが適しています(ステイン加工や多層構造)

 

・短期間で治療したい場合

→ 保険CAD/CAMが適しています

 

最終的には、口腔内の状況、咬合力、希望、費用感を総合的に考えて歯科医師と相談することが重要です。

 

8.まとめ

ジルコニアと保険CAD/CAMは、歯科補綴治療でよく使用される材料ですが、以下の違いがあります。

 

・ジルコニア:高強度・耐久性・長期安定性・審美性が優れ、自費治療

・保険CAD/CAM冠:保険適用可能・短期間で作製・審美性や耐久性は中程度

 

治療部位や使用環境、費用、審美性の優先度に応じて選択することが大切です。

両者の違いを正しく理解することで、安心して長期的な口腔の健康と美しさを維持できます。

 

患者さんのライフスタイルや希望に合わせて、最適な材料と製作方法を選ぶことが、満足度の高い補綴治療につながります。

当院では両方の治療素材を扱っております。

気になる点がありましたらお気軽にご相談くださいませ。

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